2011年10月22日土曜日

アスペルガー症候群確定診断時の心理検査結果分析(強み弱み凸凹色分け)

アスペルガー症候群の確定診断に用いられた各種心理検査結果の報告書です。
ポジティブな評価(強み:凸凹の凸)は青色ネガティブな評価(弱み:凸凹の凹)は赤色で色分けし、自分の傾向を見えやすいようにしました。心理検査を受ける予定の方が内容を推測できると、その人にとって正しい検査が出来なくなるかと思いますので、一部情報はカットしてあります。

2011/12/05追記:
  • WAIS-IIIの下位評価項目はWikipediaにも掲載されており、かつ重要な情報というお話しを伺いましたので、下位評価項目を追記しました。
  • タイトルが冗長だったので変更しました。


【WAIS-III】
 言語性IQ=140
 動作性IQ=113
   全IQ=130(最優秀レベル130~)    discrepancy=27↑

言語理解=136)
・(単語=18)抽象概念操作能力が高く、難しい言葉の意味も良く理解している
・(類似=17)上位概念や言葉の本質を捉えている
・(知識=13)学校教育で身につけた知識も高度なレベルで定着している
・(理解=19)言語表現力や一般常識・知的な判断が大変優れている

作動記憶=107)
・(算数=13)長い文章を聴いて理解し、暗算で計算する能力が高い
・(数唱=16)単純な数字の記銘保持再生能力が優秀
・(語音整列=5)2個以上の聴覚刺激を記銘し保持再生することが苦手であり、不器用な面がある

知覚統合=112)
・(絵画完成=9)視覚的注意集中がやや低く、たいていの人が眼に入るような事を見落としていなり、気づかなかったりすることがある
・(絵画配列=13)前後から推察する事が得意で、状況の文脈や前後関係・空気を読み取る事が出来る
・(積み木=13)物事を分析し統合する能力が高い
・(行列推理=14)視覚情報の法則性を読み取り、推理することに優れている

処理速度=113)
・(符号=11,符号再生満点)眼と手の協応動作は、平均以上のレベルで、新しい学習場面でも正確に視覚情報を取り込み、素早くこなすことが出来る
・(記号=14)必要な視覚情報を素早く抽出する能力が高く、事務処理は平均より高いレベルでこなすことが出来る


【WAIS-IIIまとめ】
知的能力は非常に優秀なレベルですが、2つ以上の事柄の同時処理が苦手な点が顕著です。また、たいていの人が気付くような事象が眼に入らない面があります。処理速度も平均以上で、言語能力は高く、論理的思考にも優れているにもかかわらず、実際の生活場面では、不器用な面が際立ってしまうと推察されます。

【ロールシャッハテスト】
・物事を判断し行動に移す時、感情に任せて決めてしまう時と、いろいろ考えあぐねて決められず時機を逸してしまう時がある
・行動に一貫性が無く、失敗から学ぶことが少ない
・精神活動性は平均レベル
・相手の意図を汲んで、適切な言葉で細部にわたり説明することが出来る
・細部まで良く注意が行き届き、把握することが出来る
・知的能力が高い
・他者に対しての警戒心が強い
・基本的安全感が脅かされている状態が慢性化している
・常に人の思惑を気にする傾向が慢性化している
・対人希求性が高い
・人に対しての期待が大きい
・外界に対して観察力が鋭い
・全体を常に良く目配りしている
・非常に独りよがりなものの見方や考え方に固執する傾向がある
・複雑な感情刺激が渦巻くような場面では、被害的になることがあると推察される
・抑うつ感と同時に不安感が非常に強くなる点が特徴的
・人との距離が近くなると不安が強くなる点が特徴的
・対人希求は強いものの、関係が深くなると不安も強くなり、安心して人と関わることが出来ず、落ち込むと不安に苛まれるという傾向があり、穏やかな心持ちで暮らすことがなかなか出来ない
・積極性や意欲は潜在的にはあるものの、思考がまとまらず、知性化防衛や反動形成をしばしば用いるため、人との関係が不安定でイライラ感が常に高い状態
・人に対してこうして欲しいと言う欲求を持ちながらも、自分から働きかけることが出来ずに、期待通りに行かないことに恨みを抱きがち
・対人関係では自己主張が出来ず、他者と協調的に関わることが出来ない為、恣意的な思い込みや、関係念慮を抱きやすい面がある
・感情刺激に対して混乱を引き起こされやすい点が特徴的
・感情を出すと同時に不安に襲われる面があり、気持ちを表明すると同時に自己嫌悪や不安が襲ってくる体験を積み重ねやすい
・不安定で自己存在感が脅かされがちであることが推察される


【AQ-J:自閉症スペクトラム指標】
自閉症スペクトラムの可能性が高いと言えます。特に、コミュニケーション能力とソーシャルスキルが低いと強く自覚しています。

【バウムテスト】
・自分と他者との境界線があいまいで、自分を守ることが下手な人であることがうかがえる
・怒りを内面に溜め込みがちであり、対処能力が低く、現実適応能力が制限されていることが推察される
・要求水準が高く、自我肥大傾向も潜在的にあることがうかがわれる

【PFスタディ】
・欲求不満場面ではほぼ平均的な対応をする事が出来る
・起きた出来事に対して感情的に反応することが多く、その後に、すぐに自分で何とかしなければと言う自罰的問題解決に走る傾向があり、必要以上に自分で何とかしないといけないと焦燥感を募らせ、空回りしがち
・必要な言い訳や申し開きが出来ず、自己主張や自分の意見表明が出来ないため、非常にストレスがたまりやすい傾向がある

【SCT】
・自己否定感が非常に強い
・希死念慮を抱えている
・絶望的な気持ちを抱えている
・父母への否定的な感情が強い
・妻には依存している面と逃げ出したい位の気持ちがせめぎ合っていることがうかがわれる
・自分の能力に対して、自信と自己卑下がないまぜになっており、自己達成感がない
・将来に対してITのスキルアップに対しての意欲はあるものの、投げやりな気持ちもあり、不安定な感情を抱えている
・対人関係は狭く、孤立した状態が幼少期から続いている
・不眠傾向が強く、心身共に健康感がない


【心理検査まとめ】
非常に知的能力の高い人です。集中して一つの事に打ち込むことは出来ますが、2つ以上の事を同時に処理したり、注意を上手く配分するような事が求められる現実場面では、うまく立ち回れない不器用な面があります。感情刺激に左右されやすく、傷つきやすく、デリケートな感受性を備えています。しかし自己主張が出来ず、感情を表そうとすると自己嫌悪や不安に襲われてしまうために、対人関係では警戒心を強め、ますます自分で世界を狭めてしまうと言う悪循環が続いています。対人関係の不得手さの背景にはPDD傾向もあると考えられますが、不安感の強さと抑うつ感から現在は注意が配れなくなっていることもあるとも考えられます。PDDがベースにあり、苛められ体験・両親との関係不調等が重なって、何らかの外傷的な体験と過労をきっかけに、適応障害が顕著になったものと推察されます。

希死念慮や投げやりな気持ちと、何とかしたいと言う気持ちがせめぎ合っており、ご本人の苦痛は非常に深いものと考えられます。

報告書のなかに、自己主張が出来ないという点が何度か出てきます。これは「心理検査まとめ」のなかで推察されている外傷的な体験が強い影響を与えていると自己分析しています。社会人になってからは自己主張が強すぎるほどのキャラクターだったのですが、 昨年仕事をしている際に強烈な経験をし、うつ病で1年半ほど伏せっていました。ようやく回復してきたところで心理検査を受けた為、外傷的な体験の影響が強く残っており、自己主張が出来なくなっているものだと思います

これで報告書の各評価項目を抽出し、ポジティブ/ネガティブの分類が出来ましたので、今度は、ポジティブな部分をいかに活かし、ネガティブな部分をいかに補うかの概略を考えたいと思います。

その次に、各評価項目について、次のような対応項目を作って、傾向と対策の理解を深めたいと思います。

  • 意識している/していない
  • 先天的/後天的(生育環境と学習によるもの)/一時的(二次障害によるもの)
  • 今までの対処
  • 望ましいと思われる対処
  • 重要度
  • 難易度

0 件のコメント:

コメントを投稿